穴を掘る話。

塾長の叫び

穴を掘る話。









穴は時間さえかければ深く、大きく掘れるよね。




でもね、人によって使える道具は違うんだ。









リサはドリル、

タケシはスコップ、

ジョンはショベルカーで、

ボブはスプーン、

ってな具合にさ。



タケシが汗水たらして掘ってる横で、

リサが轟音とともにガシガシ掘っていく。



タケシは1時間かけて掘ったのに、

リサは10分ほどで追いついちゃう。



リサ「アナタなんかに負ける訳ないでしょ」



そう吐き捨てた瞬間、
ジョンが一撃で彼らを越える。


ジョンは二人を冷めた目で見下ろし、

次の一撃を振り下ろす。



タケシとリサは真っ青。



勝負あったか?










この差はなんだろうね。









道具の差?





確かにそうだけど、

道具だけ見ていては本質が見えてこない。







タケシにショベルカーを与えたとしても、
エンジンのかけ方すら分からないんじゃない?









じゃあこの差はどこに?









経験だよ。


「そうだ!穴を掘ろう」と思い立ったタケシがいきなり、

何年も工事現場で働いてきたジョンに勝てる訳じゃないか。


積み上げてきた経験が違うからさ。







じゃあ経験が違うから絶対に勝てないのか?






その経験の差を埋める事は出来ないのか?













やってもやっても差がつけられる一方のタケシはついに


「やってらんねー!やーんぴ!」




この瞬間、

タケシの穴掘りは永遠に進むことが無くなった。



せっかくあけた穴でさえ、

雨風にさらされて埋まっていく。








ある日。









ボブは泥だらけになりながら穴を掘っていた。


スプーン片手に、ね。




でもね、見つけちゃったんだ。



タケシが捨てたスコップを。






諦めずに掘り続けていたからこそ手にできたスコップ。


もしかしたら「もっともっと穴を大きくしたい!」って毎日願いながら泥にまみれてきたボブだからこそ、

捨てられたスコップを見て「チャンスだっ」って捉える事が出来たのかもしれないね。




ボブは黙々と穴を掘りながら、

ドリルを使うリサを観察する。




夕方になりリサが帰った後、

こっそりドリルに近付く。



使い方は見てたからなんとなく分かる。



最初は上手く扱えずにケガさえするが、

日が変わる頃にはそれなりに形になってきた。



来る日も来る日も、

日中はスコップ、皆が帰ってからはドリル。



そんな日々を送るボブの穴を見て、

最初はスプーンから始めただなんて誰も思わないだろうね。







そして今、

ボブの視線の先にはジョンがいる。

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